[特集] AI・アルゴリズムを問う 美容師の手仕事

「アンチアルゴリズム」という言葉をご存じだろうか。
小社発行の経営誌『美容の経営プラン』2026年1月号にて、美容室オーナー・経営者へのアンケート調査をもとに発表された、「2026年美容業トレンド予測」において、順位上昇ランキング&点数上昇ランキングの1位に挙がったキーワードだ。AIなどによる自動化された効率性よりも、人間性と直感の価値を重視する、という効率や正解を優先する潮流への、静かなカウンターともいえるトレンドである。
検索すれば最適解が分かり、好みに沿った情報だけが届く、便利な時代。それは、かえって人の感覚や経験、思いもよらない提案や、相手に寄り添う力の価値をより強く実感できる世の中でもある。美容業は、まさにそこで真価を発揮する営み。お客さまの髪や骨格といったデータをもとに工程を組み立てる技は、ある種アルゴリズム的だが、理論に基づきつつも、最終的にはオーダーメイド。なおかつ、その日の気分やライフスタイルまでをすくい取ってデザインを組み立てる手腕こそ、美容師の個性となり、ファンを生む原動力になる。
今月号では、それを体現し、唯一無二の技術やセンスでお客さまをとりこにしているサロンのアプローチから、美容師の手から生まれる感動の正体に、深く迫りたい。また、重要なのは、本特集は「デジタルの否定」ではないということ。アルゴリズムによって美容師の働きやすい環境を整え、おのれの技やセンスと向き合う時間を多く確保できるとしたら、デジタルは美容師にとっての良きパートナーになり得る存在。美容師の尊厳を守り、生かしつつ、サロンワークの効率化を図るためにも、手仕事とテクノロジーの共存の形は探っていくべきだ。
アルゴリズムではすくいきれない一人一人に向き合う、その感覚こそが、美容師の武器となる。今あらためて、“手で考える仕事”の価値を問い直そう。
手仕事を宿す、ヘアデザインとその矜持
手仕事のエッセンス
視野を広げ、より人間らしく生きる
公開期間:1年間(2026年4月1日〜2027年3月31日)