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Feb. 17
経営

AIを美容室経営の味方につける
その1  

20世紀初頭、AI(人工知能)はSF(サイエンス・フィクション)でしかなかった。その後、コンピューターの発明によって学問の一分野となったが、長い間、実用性よりも、「知能とは」「人格とは」を問う哲学の題材にとどまっていた。 しかし近年、生成AI「ChatGTP」をはじめとしたAI技術が急速な進化を遂げ、ヒトを凌駕するパフォーマンスを発揮。日々の生活にも影響を及ぼすに至った。日常に根ざす美容業も当然、その影響から免れることはない。今後、AIをいち早く活用し、味方につけるかどうかで、美容室経営の成否は大きく左右されることだろう。 そこで本記事では「AIを美容室経営の味方につける」と題し、美容室の経営改善に使えるAIや、AIと美容業の未来について考えていく。

Index

美容業の「カネ」「ヒト」「モノ」の課題を解決する生成AIの今

生成AIの進化は目まぐるしい。単に文章や画像を生成出力するだけでなく、美容室経営のあらゆる課題にアプローチできるまでに進化している。まずは生成AIをめぐる現状を紹介する。

解説/菅野弘達[AI・ショート動画による集客・販促の専門家]

生成AIサービスは
登場数年で多様に進化

「ChatGTP」という名前を、皆さまも一度は耳にしたことがあると思います。ChatGTPとは、文章の理解や生成に長けたAIサービス(大規模言語モデル:LLM)の一つであり、これが公開されたのは、2022年11月のことでした。

それからわずか数年。今や、「Google Gemini」「Microsoft Co-pilot」「Claude」など、さまざまなLLMが登場しています。加えて、画像・動画・音楽・デザイン…などの専門特化型AIも続々とリリースされており、まさに百花繚乱、カオスの様相を呈しています(図)。

AIカオスマップ2024 11月版
図:さまざまな生成AIサービス
出典:(一社)NoCoders Japan協会「生成AIカオスマップ一覧 2024年11月版」

一方、生成AI技術の進化が速すぎて、何を、どう使えばいいのか分からない方や、「生成AIはおもちゃみたいなもの」「美容室経営に役立つとは思えない」という認識の方も多いのではないでしょうか。

しかし、生成AI技術の進化は、美容室や美容師にとっても他人事ではありません。日々はさみを扱うように、最新の生成AIサービスをツールとして取り入れることで、業務の効率化だけでなく、集客力・採用力アップ、サービスの質向上などの実現が可能です。

言い換えると、生成AIサービスを使いこなせるか、そうでないかで、同業他店との差異化ができるか、逆に差をつけられるかの分かれ道となりかねません。そこで、この記事では、生成AIサービスの概要を紹介しながら、美容室での活用法についてお伝えします。

デザインも音楽も
市場調査もAIが網羅

生成AIサービスには、現在、どのようなものがあり、どういったことができるのかについて、代表的なサービスと特徴を紹介します(表)。

分類特徴・使い方代表的な生成AI
大規模言語モデル問いに対して自然な文章で回答するChatGPT
画像生成写真風・イラスト画像が生成できるMicrosoft Designer
動画作成・編集文章や記事からショート動画がつくれるPictory AI
音楽生成簡単な指示でBGMなどがつくれるSuno
デザインチラシやメニュー表を直感的につくれるCanva
顧客管理来店履歴やメモを自動整理記録ができるNotion AI
市場調査トレンドや競合情報を検索提示ができるPerplexity AI
SNS効率化投稿文作成や予約投稿の支援ができるBuffer
ドキュメント管理マニュアルや議事録の作成支援ができるNotion AI
表:美容室経営に役立つ代表的な生成AIサービスの特徴

生成AIサービスではChatGPTが有名ですが、これは前述の通り、膨大な文字情報を学習し、使用者と対話をするように、自然な言語で回答を返せることが特徴です。言い換えると、ChatGTPの得意分野は「文章生成」です。

一方、デザインを得意分野とする生成AIサービスもあります。例えば「Canva」は、チラシやパンフレットのデザインが無料で簡単につくれます。

「Suno」は、音楽に強い生成AIサービスです。これを使えば、店舗に流すオリジナルの楽曲を作成して店内の雰囲気を演出したり、ショート動画のBGMに採用して映像を盛り上げたり、といったことも可能です。そのショート動画も、動画編集に特化した「Pictory AI」を使えば、写真や動画素材から、SNSや店頭モニター用のコンテンツを素早く容易につくることができます。SNSの投稿管理に役立つ「Buffer」を使えば、投稿文の作成から予約投稿、分析まで一元管理ができ、SNS運用の手間が大きく軽減されます。

こうしたことは、従来なら専門業者に外注し、高額な費用と時間が必要でしたが、生成AIサービスを使えば、美容師自身の手で、手軽に、しかもほぼコストゼロで作成できるのです。

美容室の経営課題を
生成AIで解決!

美容室経営の各課題について、生成AIの活用で解決できるアプローチを紹介します。

顧客定着

予約確認やキャンセル対応、リマインド送信といった、定型文のメッセージは、LINE公式アカウントのAIチャット機能で自動返信すれば、スタッフの手間を大幅に削減できます。また、プロジェクト管理やスケジュール管理などをひとまとめで使える「Notion」のAIサポートサービス、「Notion AI」を使えば、顧客の来店履歴を分析し、再来しない顧客を自動抽出して通知することも可能です。

客単価アップ

ChatGPTでメニューやオプションを提案する文章を作成すれば、アップセルが容易になります。Notion AIを使えば、売れ筋メニューや顧客別の傾向を可視化でき、戦略的な販売が実現します。

サービス改善

お客さまの声(口コミやSNS投稿)をChatGPTで分析することによって、満足な点や不満な点を見える化でき、メニューや接客の改善に役立てられます。

教育&トレーニング

前述したPictory AIやCanvaを活用すれば、社内研修動画やマニュアルの作成が効率化でき、スタッフの技術や接客の標準化が進みます。

在庫管理&発注

Notionで在庫管理のテンプレートを作成し、Notion AIで在庫の動向を要約・分析する方法があります。Notion AIは、発注リストの草案を自動生成したり、在庫の少ない商品を見える化したり、といったこともできます。

採用

求人広告の作成や応募者への対応にもAIは力を発揮します。ChatGPTを活用すれば、サロンの魅力を言語化した求人原稿を、短時間で作成可能です。応募者への返信文や面接での質問内容も生成できます。次ページに、採用条件をもとにLLMで求人の文案を作成した例を掲載します。また、Canvaを使えば、会社案内などの小冊子のデザインも手軽に作成できます。


生成AIはもはや、特別な道具ではありません。美容師や美容室経営者の皆さまにとって、はさみだけでなくPCやスマホが仕事に必須となったのと同様に、生成AIは今後、業務効率化や経営改善を推進する上で、使って当然のツールになると考えています。

最後に1点、皆さまへお伝えしたいことがあります。それは、

大事なのは、完璧に使いこなすことではなく、まず使ってみて、AI活用の一歩を踏み出すこと

です。最初は小さな業務からで構いません。「チラシ作成をAIでやってみる」「SNSの文章だけ頼んでみる」という一歩が、美容師・美容室経営者としてのあなたの未来を変えていくと確信しています。

Profile
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(株)ハイパーメディアマーケティング代表取締役・流通経済大学客員講師

菅野弘達

かんの・ひろみち/メガバンクのプログラマー、SE、孫 正義氏が創設した(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会などを経て2012年、(株)ソーシャルメディアマーケティングを創業。’24年、AI、ショート動画、SNS を使った集客、販促、採用のコンサルティングを行う(株)ハイパーメディアマーケティングに社名を変更。商工会議所や業界団体、企業などでの講演も行っており、受講者数は10年間で1万人を超える。

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