
超個性派サロンでスタイリストとしてサロンに立ちながら、実はひそかに韓国語を猛勉強。「韓国で働いてみたい」という願いをかなえた、滑川彩香さんの2拠点ワーク。
東京の有名店の中でも、独特の存在感を放つ個性派サロン『boy』。「HAZUSHI」と呼ばれる独自のカット技法によって生み出されるヘアスタイルをはじめ、ファッションやアート、カルチャーに精通するスタッフとの交流や、各分野からエキスパートを招いて行われるイベント・ワークショップを楽しみに、同店を訪れるファン客は多い。そんな『boy』でスタイリストとして活躍していた滑川彩香さんが同店を辞めたのは、2年前(2023年)のこと。理由は、「韓国に行きたかったから」。
「気付いたら、いつの間にかK-POPにハマっていたんです。それで、何度か韓国を旅行するうち、文化や美容にも興味が湧いてきて。もちろん、お客さまのクセを生かすなど個性を最大限に引き出してデザインする『boy』のヘアスタイルは大好きですが、韓国アイドルたちのヘアもかわいくて大好き。韓国の美容室で働いてみたい気持ちが、どんどん膨らんでいきました」
『boy』を退職後、滑川さんは同店出身の先輩スタイリスト・山道香織さんが営む『SCENT』に移籍し、サロンワークを行いながら韓国へ渡る準備を開始。まずは、’23年の12月から半年間、ソウルに語学留学へ。
「現地での暮らしを試すテスト期間のようなものでした。大学の外国人向け韓国語コースで学び、生活や勤務に必須となる言語の習得に励みました」
語学留学を経て韓国への思いを深めた滑川さんは、いったん帰国してビザ取得やサロン探しなどの手配を整え、’24年12月に再び渡韓。移住後、まず取り組んだのは美容師免許の取得だ。
「韓国では、美容師資格の試験がほぼ毎週実施されていて、誰でも受験可能。実技と筆記があり、実技はカット、カラー、パーマ、シャンプーの4カテゴリーで行われ、カットとパーマ(ワインディング)は当日にお題が発表されます。筆記試験は当然韓国語なので私たちにとっては語学が壁となりますが、無事に合格しました」
美容師資格取得後は、友人から紹介された日系サロン『MARUNI HAIR』でサロンワークを開始。滑川さんに日本と韓国の美容の違いを尋ねると、「根本的に、考え方が違う」とのこと。
「日本の美容が個性を生かそうとするのに対して、韓国の美容は個性を〝つくる〟傾向にあります。例えば、メンズのダウンパーマのように骨格を補整して、人それぞれの個性をつくり出していくイメージですね。私が『boy』に居たため、余計にそう感じるのかもしれませんが、就職祝いなどに美容整形をプレゼントする習慣もあるようですし、それが韓国の美容文化なのかな、と思います」
そう語る滑川さんは、今年(’25年)いっぱいは憧れだった韓国での美容師ライフを満喫し、年末に帰国予定だそう。


滑川さんが拠点とするのは、ソウル・狎鴎亭(アックジョン)にある『MARUNI HAIR』。お客さまの割合は、日本人と韓国人が半々くらいだそう。「日本人は、留学生の方も多いです」(滑川さん)。




韓国では、レイヤースタイルが大人気。全体的にボリュームを出しながら、ふわっと仕上げるスタイリングが主流。



日本に帰国した際は、東京・青山の『SCENT』でサロンワーク。滑川さんと同じく『boy』出身のスタイリストが運営するこのサロンには、スタッフもお客さまも、個性豊かな面々が集う。


日本のお客さまは、スタイリングでオイルやシアバターなどを使ってボリュームを抑える傾向に。
※本記事は、月刊『HAIR MODE』2025年7月号から転載した記事です。