
政府は、最低賃金(時給)の全国平均を、 2029年に1,500円へ引き上げることを目標としている。この目標が達成に至るかは不透明だが、物価高騰の社会情勢下にあって、 強い賃上げ圧力がかかっている現実は否めず、美容室経営にも今後、大きな影響を及ぼすことになる。そこで、時給1500円時代の美容室経営と、美容業の今後の在り方について特集する。
2025年8月初旬、2025年度の最低賃金の目安が示され、かねてより打ち出されている政府方針とともに「時給1500円時代」というキーワードに注目が集まった。まずは、賃上げが進む背景を解説する。
解説:美容の経営プラン編集部
厚生労働省の中央最低賃金審議会はこのほど、2025年度の最低賃金(全国加重平均)として、時給換算で1118円という目安を提示した。昨年度から63円の引き上げとなり、今年度は全都道府県で最低賃金が1000円を超えることが確定した。
現在、各都道府県での審議に入っているが、特に地方において、物価高対策や人材流出の防止などを狙い、引き上げ幅の目安を超える上乗せが検討されている。今後、都道府県の答申を経て全国平均の最低賃金が算出されるが、最終的に1118円を超える公算が高い。このように最低賃金が大幅に引き上げられている直接的な要因は、政府の方針である。岸田前首相は23年、2030年代半ばまでに最低賃金を1500円へ引き上げる方針を打ち出した。当時は12年間の猶予があり、毎年41円引き上げることで達成できるものであった。が、翌年には石破新首相の下、これを2020年代まで(実質的に29年)に前倒しする方針が打ち出された。すでに24年度の最低賃金(1055円)が出た後であり、当時で猶予は5年。達成には毎年89円の引き上げが必要となったのだ(25年度の目安から計算すると、毎年95円以上の引き上げが必要)。
このように賃上げを急ぐ背景には、物価上昇への対応や経済活性化などがあるが、特に大きな要素は、諸外国との所得格差の是正であろう。日本は諸外国に比べ低経済成長時代が続き、かつ、ここ数年は円安基調で実質的な購買力が大きく低下しており、大きな問題となっている。仮に政権が変わっても、賃上げ方針は継承されると考えられ、「時給1500円時代」の到来は間近と言えるだろう。
(8月4日 中央最低賃金審議会答申、全国加重平均)
1,118円
昨年度最低賃金:1,055円から+63円(+6.0%)
岸田政権下の目標(2023年、最低賃金1,004円)
2030年代半ばに
1,500円へ
(2035年達成として、2024年から毎年41円アップ)
▼
石破政権下の目標(2024年、最低賃金1,055円):
2020年代に
1,500円へ
→ 6年の前倒し
(2029年達成として、2025年から毎年89円アップ)


次回は…(4/9公開予定)
時給1500円時代の美容室経営
その2|時給1500円時代に支払う給与はいくらなのか
※本記事は、月刊『美容の経営プラン』2025年10月号から転載した記事です。