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May. 25
経営

美容室経営を受け継ぐ
その1|事業承継・M&Aは今後美容業でも加速する

美容室経営者・オーナーになる方法は、 独立創業だけではなく、「事業承継」という道がある。事業拡大も、自力出店だけではなく、「M&A(合併・買収)」が選択肢の一つとなる。どちらも大きな金銭が動くことからトラブルも生じがちだが、きちんと手続きを進めれば、決して難しいものではない。経営基盤や経営資源をそのまま引き継げるというメリットと、前オーナーの思いを受け継ぎ、さらに発展させるという使命は、事業承継やM&Aならではの特徴であり、やりがいも大きい。そこで「美容室経営を受け継ぐ」と題し、事業承継やM&Aを成功に導くためのポイントを特集する。

Index

解説:齋藤和寿[M&A・事業承継の成功法を教える専門家]

事業承継・M&Aは今後
美容業でも加速する

事業承継やM&Aによって、廃業することなく事業を引き継ぐことは、譲受・譲渡する側だけでなく、働くスタッフにも、さらには、お客さまや社会にとっても大きな意義があり、国も強く推進している状況です。まずは事業承継やM&Aを取り巻く環境を紹介します。

美容室オーナーの
平均年齢は年々上昇

厚生労働省が調査・公表している「生活衛生関係営業経営実態調査」によると、経営者の平均年齢は年々上昇しています。60歳以上の経営者の割合は、2010年11月調査では35・8%でしたが、5年後の’15年11月には51.4%と、15ポイント以上上昇しました。また、同調査では後継者の有無も質問しています。それによると、「後継者なし」と回答した割合は、’10年では73.8%であったのが、’15年には78.2%と4.4ポイント上昇しました。

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出典:厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』

ただし、これは全業種平均ですが、帝国データバンクの調査によると、’24年の「後継者不在率」は52・1%となりました。調査前年の’23年より1.8ポイント低下し、同調査において過去最高だった’17年の66.5%と比較すると、14.4ポイント低下しています。これは、後継者不在を理由とした廃業によって、「産業の空洞化」「失業率の悪化」「サプライチェーンの分断」などが起こることを懸念した国が、官民一体となって事業承継を後押ししたことが要因と考えられます。

こうしたことから、美容業においても、同様に’15~’17年ごろが後継者不在問題のピークであり、現在では若干緩和しているものと考えられます。しかしながら、同じく帝国データバンクの調査結果を引用すると、代表者にとって後継者問題が切実になり始める50代の後継者不在率は、’23年と’24年を比較しすると0.4ポイント増、60代は同0.1ポイント増となり、再び増加傾向に転じています。

日本全体の平均年齢は上がり続けており、60歳以上の美容業の経営者が今後も増えていくことは、まず間違いありません。それはすなわち、経営者としての引退を決意し、事業譲渡先を探す方が増加することを意味しています。本記事を読まれている皆さまの中には、金融機関や美容業関係者などから、「後継者のいない美容室があるので、事業譲受を検討してもらえないか」などと相談を持ち掛けられた経験のある方もいるのではないでしょうか?

カネヒトモノを増やす
大きなチャンス

後継者のいない美容室が多いことは業界全体の課題ですが、事業拡大を目指すオーナーや、事業承継を目指すオーナー候補の方にとっては大きなチャンスでもあります。なぜなら、「事業承継・M&A(合併と買収)」を活用することで、ゼロから独立するよりもはるかにスムーズに店舗運営をスタートさせたり(事業承継)、一気に事業を拡大できたり(M&A)といったことが可能になるからです。

ここで「事業承継・M&Aとは何か?」について定義しましょう。事業承継は、親族や幹部社員・スタッフなど、「内部の人」へ引き継ぐこと、また、M&Aは、企業から見て、「外部の人・法人」へ引き継ぐことです。実は、事業承継もM&Aも、引き継ぐ相手が違うだけであり、「企業の経営権や事業資産を引き継ぐ」という点では同一です。そのため、後述しますが事業承継もM&Aも、一部を除いてその進め方は大筋では同じです。 

話を戻しますと、通常、店舗を1つ構えるだけでも多額の資金が必要です。店を構えた後も、運営を軌道に乗せるまでには多大な労力と時間が必要になります。しかし事業承継やM&Aは、こうしたリソースを割くことなく、軌道に乗った状態の店舗を引き継ぐことができます。これは大きなメリットです。一方で、

  • 「事業承継をしたくても、親族もスタッフも株や資産を買うお金がない」
  • 「M&Aなんて大企業の話では?」
  • 「大きなお金が絡むと、途中でだまされることもあるのでは?」
  • 「お金や人のトラブルが怖い」

といった疑念や不安を持つ方も多いものと思います。そこで、事業承継やM&Aを成功に導くための基礎と、逆に失敗事例などを次回以降で紹介していきたいと思います。

こんなあなたは必読!

  • M&A(企業の買収・合併)によって事業を拡大したい方
  • 現オーナーの親族であり、今後事業承継を予定している方、または事業承継中の方
  • 現オーナーの右腕であり、オーナーから将来的な事業譲渡を打診されている方、または事業承継中の方
  • まだ事業を承継する立場ではないが、今後、現オーナーからの事業承継を目標としている方
  • 現在オーナーであり、引退の際には廃業ではなく次代へ事業を引き継ぎたい方
  • 現在オーナーであり、事業の一部または全ての譲渡をすでに検討している方

はじめから読む… 美容室経営を受け継ぐ その1|事業承継・M&Aは今後、美容業でも加速する

Profile
M&A・事業承継の成功法を教える専門家

齋藤和寿

さいとう・かずとし/就職した銀行でM&Aに出会い、天職と確信。証券会社に転職して上場企業の会社売却などに携わり、M&Aコンサルタントとしての経験を積む中で、「売り手もそのスタッフも安心できるM&Aを提供したい」との思いが高まり、2020年に独立。インバースコンサルティング(株)を設立する。取引累計額は200億円を超える。

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