
若手ヘアデザイナーの育成とスキルアップを目指し、厳しい視点での評価を行っている『ヘアモード誌上コンテスト』。時代性があるか、テーマが反映されているか、シンプルに構成されているか、モデルに似合っているか──。これが、当コンテストの審査ポイントとなっている。自分の基礎力を見つめ直したい、力を試したいという方はぜひ挑戦してほしい。
ヘアカラーに意識が向きやすいテーマですが、実際には段差による色の見え方や毛束の長短、ウエイトの位置など、形そのものにひと工夫を加え、ボブの範囲内でシルエットの面白さを追求した作品が見られたのは驚きでした。また、髪が主体になるのではなく、モデルの表情や顔立ち、その人らしい雰囲気まで引き立てることを意識できているように思います。正直、どんな女性像を描き出したかったのか、という部分では不透明な作品が多かったのですが、モデルの良い表情を引き出した作品も見受けられ、最終的にモデル自身に目がいく作品は、やはり“強い”と再認識いたしました。今回は「作為が強い」「要素が多い」「アクセントではなくヘアカラーがメインになっている」といった、このテーマでありがちな悪目立ちしたものも少なく、引き算の意識が感じられる結果となりました。
一方で、それが裏目に出たのか、悪く言うと無難に収まってしまったのか、クオリティーを度外視しても印象に残る作品に出会えなかったのは残念。ボブは時代を問わず愛される一方、新鮮さを更新し続けることが難しいスタイルでもあります。だからこそ、既視感のあるデザインから一歩抜け出し、唯一無二のボブをつくる力こそ、支持される美容師に求められると言えるでしょう。
もちろん、骨格に対してフォルムがフィットしていないものや、ウイッグが浮いて見える作品は下位とさせていただきました。レイヤーの反動から重めのスタイルへと、また潮流が変わりそうな気配も感じますので、次回は思わずうなるような「自分印」の際立つボブを期待しています!
ヘアモード編集部
★はこれまでの月間賞獲得数


坂本朋広 ★★
TOMOHIRO SAKAMOTO
VISAGE(千葉県市川市)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴22年)
応募作の多くが面で構成したデザインの中、軽やかなウエーブデザインが目を引きました。羽根のように長短を付けた毛束は愛らしいのですが、左耳後ろの毛束の動きが間延びして見えたのが気になりました。


鳥羽菜花 ★
NANOKA TOBA
SHISEIDO(東京都港区)
福岡ベルエポック美容専門学校卒(美容歴13年)
モデルの印象的な目元を強調する顔周りにセンスが光ります。ベースのピンクに対し、ブラウンをアクセントと捉える発想はテーマに対しては斬新だったのですが、デザイン自体の既視感は拭えませんでした。


小市匡也
MASAYA KOICHI
VISAGE(千葉県市川市)
早稲田美容専門学校卒(美容歴20年)
表情も相まって、目が離せない作品。フロントの繊細な束感がきいており、ぽってりとしたバックシルエットも印象的でした。裾のカールを二層にずらした点は新鮮でしたが、ややだれて見えるのが残念。


大久保洸哉 ★
KOYA OKUBO
資生堂美容室(東京都中央区)
高津理容美容専門学校卒(美容歴12年)
3色のブラウンをリズミカルに見せながらも、同じ色相でそろえることで、モデルのピュアさが引き立つ、“さらりとした着こなし”にとどめた点が魅力的でした。とはいえ、ボブの印象が薄い点は引っ掛かります。


三河圭司 ★
KEIJI MIKAWA
VISAGE(東京都中央区)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴25年)
ホワイトでコントラストを付ける王道デザインを、ベースをブラウンにし、ホワイト部分をぼかすなど、今っぽく昇華しようとした点が面白かったです。バックのウエイトが骨格に対してベストだったかは疑問。


山本理絵
RIE YAMAMOTO
M.SLASH(神奈川県横浜市)
旭川理容美容専門学校(美容歴20年)
ノスタルジックな色合いと、顔周りと前髪の透け感のある重なりがエモーショナルな作品。フロントやバックにほんのり色付いたマットな部分が狙いなのか、ムラなのかの判断が難しかったです。


須藤小百合
SAYURI SUDO
SHISEIDO(東京都港区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴6年)
正面から見たときに、前髪~顔周りのフレーム部分がスクエアに見えた点は興味深かったのですが、サイドの前上がりラインの鋭角さ、裾のブラント感と、ラインの力強さが人物から浮いて見えました。


川元槙人 ★
MAKITO KAWAMOTO
資生堂美容室(東京都千代田区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴13年)
重めのバングやポイントカラーがクールなモデルに似合っていますが、ハマり過ぎて意外性に欠けました。耳周りが膨らんで見えたため、ウエイトを低くするのであれば、もっと思い切ってもよかったような。