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Jun. 09
知識

消齢化時代における「大人」とは?
その行動とメンタリティに迫る

博報堂生活総合研究所が実施している「生活定点」調査で明らかになった「消齢化」の潮流。「消齢化」とは、本当に年齢の垣根がなくなることとイコールなのだろうか。実際のところ大人たちは何を感じているのか、当事者たちの声も気になるところ。そこで、(株)オースタンスが展開する、多数のシニア関連事業に注目。その中から浮かんでくる、現代の大人像を捉えていこう。

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関連記事:新しい社会意識の傾向、“消齢化”

“今”の大人を知る

interview
(株)オースタンス
代表取締役社長 菊川諒人氏

(株)オースタンス
設立:2015年1月9日
日本最大級のシニア向けSNS「趣味人倶楽部」をはじめとする、シニア世代を対象としたサービスや、シニア世代向けにビジネスを展開する企業への支援、官公庁や地方自治体に向けた実証実験・サービス提供などを行う。企業理念は「私の好きが、世界を、動かす。」

face
菊川諒人

きくかわ・りょうと/2010年慶應義塾大学を卒業後、リクルート入社。同社の新規事業開発室にて、金融や通販領域など、複数の事業立ち上げや統括を担当。15年、(株)オースタンスを創業。同社CEOに就任。「歳を重ねて、楽しみがある人生に。」をビジョンに、法人や自治体向けに、シニアDX戦略の立案と実行を支援。

日本を元気にする思考、
「年齢はハッシュタグ」

当社はもともと、シニアに特化した事業を行っていたわけではありませんでした。私自身もダンスをしていましたが、プロのダンサーが友人におり、ダンスや音楽に打ち込む仲間が利益を得られる場所をつくりたい、と起業をしたのが始まりです。その中で、「おばちゃんダンサーズ」が注目を集めたのをきっかけに、まずはインフルエンサー事業から、シニア関連の企画をスタートさせていきました。

シニアのインフルエンサーたちに対する反応には、日本と海外で大きな差があります。「おばちゃんダンサーズ」を例に挙げると、国内では「高齢なのにすごい!」という、“ギャップ”に注目した褒め言葉が多いのですが、国外からはシンプルに「cool!」と言われることが多いのです。世界基準で言えば、「消齢化」なんて当たり前のこと。年齢は確かに自分を示すものの1つですが、それは数字に過ぎない。私たちがよく使う「年齢はハッシュタグ」という言葉にはそんな意味を込めています。

時代が動き、「年齢なんて関係ない」という価値観はようやく日本でも浸透しつつあります。理由は観点によってさまざま。一番大きいのはやはりネット環境やデジタル技術の進化でしょう。インターネットが普及していなければ、そもそも世代ごとに興味を示す分野は偏ります。また現在でも、専門学校の入学志願において、45歳以上は足切り等があるという話を聞いたことがあります。しかし、ネット上ではさまざまな世代のカルチャーを吸収できますし、ある程度の匿名性があるので年齢に関係なく「好きなもの」を追求できます。特にコロナ禍以降は、この傾向がかなり強まりました。さらに、「ジェンダーレス」「ボーダレス」といった「○○レス」の価値観が浸透し、多様性の時代になったことで、世間の「空気」が大きく変化していったことも大きいと思います。

ここであえて、シニア世代と若い世代の違いに注目してみましょう。それは、「平日に自分の時間を取れるか否か」というところ。当たり前ですが、日本の多くの商業施設の売上げは、週末と平日でかなりの差があると聞いています。でもシニア世代が自分の好きなことを追求し、仲間を増やせば健康に、元気になり、「平日のお出かけ需要」を生み出してくれます。「消齢化」は日本経済を元気にすることにつながる、重要なファクターだといえるでしょう。(菊川)

「消費者」から「提供者」へ
意識が大きく変化

従来のシニア世代の活動で注目されていたのは、主に消費行動。世の中にあるさまざまなサービスを活用したり娯楽を満喫したりと、「受け手」としての側面が強かった。スポーツや芸術など、自己表現・鍛錬につながる活動においても、多くの場合は「習い事」として取り組むことが主流。しかし、近年の彼らは発信者としてパフォーマンスや配信などを行う傾向が強く、場合によってはそこに収益が伴うことも少なくない。

「モノ」より「体験」へ
求めるものがシフト

多くの場合、年齢を重ねるほどに経済的な余裕は増してくるもの。そのことについて語られるとき、これまでは、「彼女らは自分の欲しい『モノ』を好きなように手に入れられる」というように、物欲を前提としていることが多かったのではなかろうか。しかし、近年は事情が変わってきており、何かを「体験したい」という欲求の方が高まりつつある様子。ずっと挑戦したかったけれどできなかったことや、自分にはとても無理、縁がないと思っていたことなどに、果敢に挑む気持ちを優先しつつあるのだ。

「デジタル」と「回復行動」が
生み出すケミストリー

過去には、例えば女性なら、(法律で平等が保証されていたとしても)働くことを許されない空気があったり、プライベートでの活動も世間の目による制限があったりと、その世代なりに自由に行動できない何らかの理由が存在していた。そんな彼らは、しがらみの減った令和の今、ずっと興味があったこと、取り組みたかったことに改めて挑戦しだす姿勢が見られる。その傾向に拍車を掛けているのが、「デジタルツールを当たり前に活用する」スキルの浸透。今、彼女たちは過去を取り戻そうとしているのだ。

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