
若手ヘアデザイナーの育成とスキルアップを目指し、厳しい視点での評価を行っている『ヘアモード誌上コンテスト』。時代性があるか、テーマが反映されているか、シンプルに構成されているか、モデルに似合っているか──。これが、当コンテストの審査ポイントとなっている。自分の基礎力を見つめ直したい、力を試したいという方はぜひ挑戦してほしい。
今回は出題文にあった「大人っぽく」「浴衣に合う」といったキーワードを意識したためか、顔周りや前髪にトレンド感を取り入れながらも、上品な女性像へと着地させた作品が多く集まりました。特に印象的だったのは、フロント~サイド、バックとのつながりも含めたトータルデザインとしての完成度を高めようとしていた点です。また、今回はセット&アップのお題。質感のクオリティーは審査の重要ポイントです。上位の作品に関しては、面のつくり込みも美しく、またハイトーンながらもパサつきを感じさせないものが多く見受けられた点に驚きました。
一方で、やはりテールそのものの完成度、デザイン構成が何よりも問われるテーマでもありました。フロント周りの表現が魅力的でも、テールありきの構成に説得力がなければ高評価にはつながりません。今回は巻いて動きを付けるアプローチが多く見られましたが、結果としてバックから見たデザインはどれも似た印象に感じました。また、狙ったデザインに対してテールの毛量や長さが不足しているケースも目立ちます。モデル選定が適切だったのか、または臨機応変にデザインの方向性を切り替えバランスを取ることができていたのか――これは今回のテーマに限らず、次回も意識していただきたいところです。
テーマが明確だからこそ、その縛りを「オーダー」と捉え、いかに新鮮さをもたらせるか。これは皆さんが日々サロンワークなどで取り組んでいることのはずです。次回は、皆さんならではの発想に出会えることを期待しています。
ヘアモード編集部


KEIJI MIKAWA
VISAGE(東京都中央区)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴25年)
高い位置で結ぶほど、コーミングの難易度が上がるにもかかわらず、面がとても美しく仕上がっています。デザインのインパクトに対し、あえてメイクや表情を抑えたバランスもすてきです。シルエットの面白さをデザインの外しとしてきかせつつ、かえってモデルの骨格の美しさが引き立って見えた点も新鮮でした! 実は、最後まで月間賞にするかを悩んだ作品。テーマに対する新しい解釈も必要ですが、10人中何人がポニーテールと認識するか、という点が引っ掛かりました。


KOYA OKUBO
資生堂美容室(東京都中央区)
高津理容美容専門学校卒(美容歴12年)
緩やかな毛流れを、崩れないギリギリの力加減で留めたデザインがまさにプロならでは! フロントはふんわりとつくり、そこからサイド、テールへと毛流れのつなげ方も心地よいです。フェミニンな印象でつくると老けて見えそうなところを、テールはやや高めに配置し、ドーリーに仕上げた点もさすがでした。ただ、モデルに対するアプローチとして想像の域を脱しなかったのが残念。女性像の方向性としてはまとまっているのですが、大久保さんらしさも感じたかったです。


TOMOHIRO SAKAMOTO
VISAGE(千葉県市川市)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴22年)
回を重ねるごとに、デザインに今っぽさを感じますね。束感は引き出し過ぎると、だらしなく見えるところを上品に見える絶妙な塩梅でとどめた点が秀逸でした。特に、バック側に毛流れや毛先のハネ感をつなげ、テールとそれ以外の要素が分離しないよう、よく練られています。ただし、フロント側にポイントが盛り込まれているからこそ、相対的にテールの毛量が少なく見える点が目立ちました。坂本さんが狙ったであろうテールのウエーブ感も左サイド側は弱いです。


NANOKA TOBA
SHISEIDO(東京都港区)
福岡ベルエポック美容専門学校卒(美容歴13年)
明るい髪ながら質感の美しさと、ウエーブの優美さによって品よくまとめ、「浴衣に合う」点をうまく昇華できています。この上品さやモデルの雰囲気的に、前髪の産毛風の髪は不要かも。


ASAKO ABE
arts ofa(東京都町田市)
郡山ヘアメイクカレッジ卒(美容歴3年)
テール~前髪まで女性像が明確な点が好印象。後頭部とテールに隙間がなくサイドの見え方にメリハリがありません。テールのウエーブをバック側に広げる、ヘアカラーでポイントをつくるなどのひと工夫を。


HANA OCHI
TONI&GUY(東京都渋谷区)
国際文化理容美容専門学校卒(美容歴8年)
ヘアカラーのグラデーションとテールが相性抜群です。ダイナミックなウエーブで勝負した点も潔く、面のつくり込みも美しかったですが、毛先のパサつきとこめかみの透け具合が気になりました。


SORA HIROSE
資生堂美容室(神奈川県横浜市)
福岡南美容専門学校卒(美容歴4年)
低い位置にテールを結び、「くるりんぱ」などアレンジの要素も取り入れて、上品なポニーテールにうまくまとめ上げていますね。とはいえ、毛束の引き出し方、もみ上げのつくりが大味です。


MIWA MASUHARA
フリーランス
ル・トーア東亜美容専門学校卒(美容歴17年)
結び目から意匠を凝らしたデザインによってテールにメリハリが付いており、作品の中でも目を引きました。眉上バングの攻め具合はお見事ですが、前髪からサイドへのつながりが洗練されていません。


MANA KIMURA
VISAGE(千葉県船橋市)
長岡美容専門学校卒(美容歴5年)
目の上ギリギリでややラウンドさせたバングと赤色のヘアカラーがモデルによく似合っています。しかし、顔周りとテールに施したカールが作為的で硬く、これによって今っぽさが半減されています。