
ハイトーンカラーがブームとなり、そして定着しつつある現在。若くしてデザインカラーを武器にお客さまに支持され、そしてサロン代表としての顔も持つ2人が考える、ヘアデザインの未来とは。
photo:Kazuki Sano[CHIYODA STUDIO]
![サロン代表の超新星2人が語り合う デザインカラーのトレンド性と未来|フウガ[Null]× いさな[ADITION] 1 fuga](https://hairmode.jp/wp-content/uploads/fuga-1024x682.jpg)
美容師として提供できる価値を
デザインカラーを通じて
届けるのが僕の仕事
— Fuga
フウガ/1998年生まれ。東京都出身。国際文化理容美容専門学校卒業。東京都内3店舗に勤務後、2023年、表参道に『Null』をオープン。
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Null
フウガ氏、松岡 諒氏が共同代表を務める。2023年、表参道に1店舗目を開くと、’24年には2店舗目の原宿店、’25年7月には3店舗目の明治神宮前をオープン。平均年齢23歳と若いメンバーがそろい、全員が高水準の技術を身に付けた“デザインカラー専門サロン”として展開中。
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無限大の可能性を秘めた
デザインカラーを
極めるまでつくり続けたい
— Isana
いさな/1999年生まれ。大阪府出身。神戸ベルェベル美容専門学校卒業。新卒で『ADITION』に入社し、2024年、共同代表に就任。
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ADITION
大石啓慈氏が創業。2019年に『ADITION 渋谷』、’22年に『ADITION新宿』をオープン。バレイヤージュやハイライトなどを先駆的に提供しながら、徐々に発信するデザインカラーの幅を拡大。’24年にはいさな氏が共同代表に就任した。
——デザインカラーを中心に提案し始めたきっかけは?
フウガ スタイリスト1年目の時、SNSで集客するためには分かりやすい武器が必要だと感じたんです。どうせなら一番好きなものを選ぼうと、当時はまだ2割くらいだったデザインカラーのお客さまの写真だけをSNSに載せるうちに、希望してくれる人が増え始めました。
いさな 僕は美容学校生時代に、「一番難しい技術を突き詰めよう」と思ったのがきっかけです。今となってはもちろん他の技術の難しさも分かるんですけど、当時はハイトーンカラーが最もリスクが高くて技術力が問われると感じて。始めてから、デザインカラーによる表現の幅広さという魅力に気付きました。
——始めた当初から現在まで、デザインカラーへのニーズの変化は感じていますか?
フウガ 需要は増えた実感があります。それは、美容業界以外の企業が髪色の自由化を少しずつ進めているのも理由の一つでしょうし、あとはやはりSNSの影響が大きいでしょうね。実際の街に派手髪の人は多くはいないけれど、SNSには色とりどりのデザインがあふれているじゃないですか。今の人って、現実の街以上にネットを見ていると言っても過言ではないので、“派手髪耐性”が付いてきて、特別なものという認識が薄れているように感じます。
いさな あと、美容師の影響もありますよね。美容師が集客にInstagramを使うようになって、一般の人がデザインカラーを目にする機会が激増したと思います。そして最近は、ニーズが増えたというより、定着したな、と。今はブリーチからトレンドが切り替わって、レイヤーをはじめとした韓国スタイルがはやっていますよね。
——トレンドが移り変わった今、デザインカラーをつくることに関してどのように考えていますか?
いさな トレンドではなくなったからと別の技術に注力しようと考える美容師もいると思いますが、僕はデザインカラーをつくり続けたい。注目されなくなり、Instagramの投稿が伸びなくなった、といった理由で武器を変えると、美容師としてお客さまに向き合う上での軸がぶれてしまうように感じるんです。一度始めたら極めるまでやめたくないですし、トレンドはサイクルするものなので、絶対にまた時代が向いてくると冷静に判断して続けることが大事だと思います。
フウガ 僕は自分のつくるヘアデザインを流行性をベースには考えていないんです。ヘアケアや暗髪がはやってるというのは、もちろん把握しておくべきではありますが、それをネガティブには捉えていない。そもそも、ハイトーンがトレンドだったから打ち出し始めたわけでもないので。自分たちが提供できる“ヘアデザインによる自己表現”という価値を、デザインカラーというツールを用いて届けていく姿勢を続けるだけですね。
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施術1カ月後にブロンドに退色し、残留しないのが特徴。毛先に入れる「エンドカラー」や筋状のポイントカラーである「スラッシュカラー」などキャッチーなデザインを生み出している。
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![サロン代表の超新星2人が語り合う デザインカラーのトレンド性と未来|フウガ[Null]× いさな[ADITION] 10 isana 3](https://hairmode.jp/wp-content/uploads/isana_3-767x1024.jpg)
2ブリーチしたベースからつくる透明感のある色みが人気。ペールトーンやビビッドな色を用いたものからモノトーンまで、クールでありながらも幅広いデザインカラーを提案。
——では、サロンとしては、デザインカラーを打ち出すことを意識していますか?
フウガ 『Null』の場合は、デザインカラー専門店として運営しているので、意識するというよりは、大前提。主に10パターンの色の入れ方を、マニュアル化することで全スタッフで共有しており、その組み合わせと配色によって、各スタイリストが個性を発揮しながら無限のデザインを生み出せるという独自の理論を構築しています。そうすることで、高水準のデザインカラーを全スタッフが提供できるからこそ、デザインカラーの専門店として展開していけるんです。デザインカラー市場は広くはないですが、狭いからやらないのではなく、我々が市場を広げていくんだという思いでやっています。
——いさなさんは、サロンの方向性をどう考えていますか?
いさな 『ADITION』は、全員デザインカラーを提案するといった方向性は決めておらず、メンズパーマ、縮毛矯正、レイヤーカットなど、スタッフそれぞれが好きなことを打ち出しています。僕自身、この5年間は「いさな」という名前を広めるためにも自由にやらせてもらいました。そして今、共同代表という立場になったからこそ思うのは、スタッフにもやりたいことをやって、自分の目指す未来に進んでほしいということ。まだ共同代表1期目、これからスタートという時期ですが、サロンの方向性としては、お客さまがスタッフの人間性にひかれてずっと通い続けるような、「人」に価値のあるサロンにしていきたいですね。フウガくんもさっきはデザインの話をしていたけれど、その思いは同じじゃない?
フウガ 間違いなく「人」は大事だね。デザインの形式化といった話は経営面では重要な要素ですが、サロン運営において重視しているのはスタッフ教育です。あらゆる情報共有のスピードが早くなり、美容師の技術力が底上げされている今、他サロンとの差別化がより難しくなっています。そんな状況では、お客さまは美容師の人となりで通い続けるか否かを判断することも多いでしょう。
——「人間性」というと難しいですが、どんなことをスタッフに伝えていますか?
いさな 選ばれ続けるためには、お客さまの人生に必要な存在になっていくべき、ということを重点的に伝えています。いつまでも初心を忘れずに、自分を選んでくれたお客さま一人一人に向き合い続けることが大切。これは、お客さまの数を増やそうとし過ぎると、どうしてもおざなりになりがちな意識なので、やはり自分を選んでくれた人に全力を尽くす気持ちが大事だと感じます。
フウガ 「誰のための美容師なのか?」というのを忘れないことですね。答えはもちろん、お客さま。お客さまの人生を豊かにするために、僕らは美容師をしている。お客さまの髪を魅力的にするために技術を磨き、より多くのお客さまに対応できるようにお店を大きくしていく。その目的と手段を間違えなければ、正しく成長していけると思います。
——最後にサロンの今後の展望を教えてください。
フウガ 7月に新店舗がオープンして新体制が始まりました。全3店舗で『Null』というブランドがより長く続くための基盤を固めていきたいです。
いさな サロンの中で今自分が担っている役割を徐々に後輩たちに託していき、スタッフ全員で成長していける組織をつくっていきたいと思います。
※本記事は、月刊『HAIR MODE』2025年8月号から転載した記事です。