
(株)リトル・サイエンティストは今年3月25日に小社から『エイジング毛のための毛髪科学とケア理論』を上梓した。ヘアケア粧剤を研究開発、製造販売し、教育にも力を入れている同社。25周年を迎えた今、なぜエイジング毛にも注目したのか。創業者の野村恭稔さんに伺った。
![今後、美容師として必要なのがエイジング毛の確かな知識 /野村恭稔[リトル・サイエンティスト] 1 260430 0012 retouch](https://hairmode.jp/wp-content/uploads/260430_0012_retouch.jpg)
野村 今、日本の総人口の半数は50歳以上です。それに伴い美容室に来店されるお客さまも50代以降が増えていますが、この状況に対して美容師のエイジング毛に対応する知識は追いついていません。多くの美容師が、髪がどのようにエイジングしていくかを理解できていない、お客さまの年齢に応じて髪の扱い方を変えていないのです。そのような中、長年お付き合いしているお客さまの施術が上手くいかなくなっているけれどもなぜかわからない、という悲鳴をよく聞きます。お客さまに満足してもらえるパーマやヘアカラー、トリートメント施術を提供し続けるために、髪がどのようにエイジングしていくかを知ることができる。そのような書籍が、早急に必要だと思い、出版に至ったのです。
野村 ひと言で言うとお客さまから信頼してもらえ、長くお付き合いできることですね。例えば、パーマ施術時に2剤にブロム酸、過酸化水素水のどちらを使用するか選択する際、過酸化水素水はブロム酸より安価なため、使用しがちです。ところが、過酸化水素水の特性を知らずに使用してしまった場合、還元剤が残っている状態だと発熱し、髪がチリチリになってしまいます。エイジング毛ではこのようなことが特に起こりやすく気を付けないといけませんが、それらを知らずに施術するとハイダメージを与えてしまい、失客につながってしまうのです。お客さまは髪の毛がチリチリになってしまったことを美容師に直接クレームする人は少ないです。いつの間にか自分の周りからお客さまが離れてしまったという手遅れな状況にならないためにも「知識を得る」ことはとても大切だと思います。また、髪がどのように変化していくかを知っていると、先を見越して対応することができますね。
野村 エイジングには、2つの段階があります。1段階目と2段階目では状況が異なり、するべきことも違うため、それらを理解しておく必要がありますが、多くの美容師は2段階に分かれていることを理解していません。本書ではこの点についても言及しています(上記参照)。このようなことに言及、解説している本はこれまでになかったと思いますね。デザインや薬剤は時の流れとともに変化していきます。そして、これらに対応するためには、毛髪科学の知識も身に付けておく必要があります。今後は確実にエイジング毛の知識が求められるのです。全ての美容師に本書を読んでもらい、エイジング毛について今一度勉強してもらいたいですね。
![今後、美容師として必要なのがエイジング毛の確かな知識 /野村恭稔[リトル・サイエンティスト] 3 エイジング毛P12 13](https://hairmode.jp/wp-content/uploads/エイジング毛P12-13-1024x676.jpg)
野村 人口統計でも示されている通り、日本の人口は50代以上の人が増えて、それ未満が減ります。若い客層がメインの美容室は収益が減ってくると思いますし、労働人口も減るため、スタッフ不足も懸念されます。これらが予想される未来において、「お客さまの信用を獲得する」「技術者として美容を学ぶ」これらをきちんとコツコツできる「美容の職人」が生き残ると思います。SNS映えするはやりのスタイルをつくれればいい、失敗してもごまかせる技を持っていればいい、などの発想で美容師をやっていると生き残れません。小手先に頼らない技術やデザイン、知識をより一層求められる時代になると思います。
野村 本書や弊社の学習システムのリトル大学院を活用して、教育をしっかりと行っていきたいです。モノを売るだけではなく、教育もセットで行う。この理念は創業当時から変わっていませんが、より一層強化していきたいと思っています。30年後には美容師の数が今の半分で事足りる時代になると予想されます。その時に弊社のお客さま(美容師)も今の半分にならないように、美容師に支持され、愛されるメーカーでいられるように、より一層励んでいきます。
※本記事は、月刊『HAIR MODE』2026年7月号から転載した記事です。
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