
若手ヘアデザイナーの育成とスキルアップを目指し、厳しい視点での評価を行っている『ヘアモード誌上コンテスト』。時代性があるか、テーマが反映されているか、シンプルに構成されているか、モデルに似合っているか──。これが、当コンテストの審査ポイントとなっている。自分の基礎力を見つめ直したい、力を試したいという方はぜひ挑戦してほしい。
「シャギー」をテーマに据えたとき、従来ならば、いかに大胆に軽さを打ち出すかといった、“シャギーそのものが持つ強さ”を前面に出した作品が多かった印象があります。しかし今回は、そうしたアプローチに偏り過ぎず、シャギーの軽やかさを生かしながらも、質感や動かし方によって新鮮さを表現しようとする意識が感じられました。特に印象的だったのがヘアカラーの使い方。シャギー自体にデザイン性が強いため、カラーを主張し過ぎると要素過多に陥りやすい中で、あえて控えめに配色して質感を引き立てた作品が多く、全体として上品にまとめられている点に好感を持ちました。ただし、もう一歩踏み込んだ提案を見てみたかったのも事実。要素を絞り、かつ既視感をどう超えていくかという部分が難しかったとは思いますが、「この発想はなかった」と驚かされるような振り切った作品は少なく、全体的にまとまりの良さが先行していたように感じました。
また、表現を抑えるほど、ディテールに目が行きます。今回は特に質感づくりやシルエットバランスの良し悪しでマイナス点を付けざるを得ない作品が見受けられた点が残念でした。レイヤーの入り方によって毛先が薄く見えることで、前髪などその他の部分と厚みのコントラストが付き過ぎてしまったり、アイロン操作の作為感が強く出たり……パサつきが目立ってしまうことへの配慮も不可欠です。
全体を引きで見て、仕上がりを詰める意識はどのテーマでも持っておきましょう。次回も新しい時代性やテーマへの新解釈を感じさせる作品を期待しています。
ヘアモード編集部


NANOKA TOBA
SHISEIDO(東京都港区)
福岡ベルエポック美容専門学校卒(美容歴13年)
顔周り〜前髪にしっかり長短を付けながらもラインを緩やかにつなげたことで、デザインに一体感が出ていますね。特に、顔周りはかなり高い位置で切り込んでいるものの、この効果によってモデルの顔立ちにフィットしていました。また、表面にもレイヤーを入れながらバックの裾の厚みは残し、ほのかにくびれを付けて軽やかな印象をキープした構成も今っぽくてオシャレ。ヘアカラーの配色もバランスが良く、モデルの雰囲気に合っているのですが、黄みの強い髪色だからこそレイヤーとの相互作用によって全体的にパサつき、傷んでいるように見えたのが残念。


MARINA TSUKAHARA
SHISEIDO(東京都港区)
東京マックス美容専門学校卒(美容歴8年)
前髪は目にかかる設定で、バックも長めにして重心をやや下に置くことで、シャギーによる軽やかさを生かしながらもしっとりとした雰囲気を宿した点が新鮮でした。スタイリングは顔周りのみ少しだけ曲げ、全体をさらりと仕上げた点、裾の重さを適度に残した点がその質感を引き立てていますね。部分的に暗くカラーリングした工夫もさすがですが、もう少し濃淡は強調しても良いような? シャギーはデザイン要素としても強く、カラーリングを攻めると作為的になりやすいデメリットもありますが、狙いなのか、ムラなのかの判断が難しかったです。


KOYA OKUBO
資生堂美容室(東京都中央区)
高津理容美容専門学校卒(美容歴12年)
太めのメッシュの配置が繊細かつ絶妙で、うまく現代風に落とし込んでいますね。ただし今っぽい要素の1つであるシースルーバングの薄さが、全体を引きで見たときに強調され過ぎているようです。


KEIJI MIKAWA
VISAGE(東京都中央区)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴25年)
髪の動きを強調するシャギーの効果を最も生かした作品で、ピンク寄りのベージュカラーも似合っており、軽やかさを引き立てています。骨格の傾斜的に、前髪の奥行きの設定は再考の余地ありです。


MAKITO KAWAMOTO
資生堂美容室(東京都千代田区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴13年)
メッシュ風カラーデザインが、テーマと相性が良く、長めレングスながらウエイトは高めという点が目を引きました。撮り方とメイクアップの印象、ヘアのテンションがチグハグな点が残念。


RIE YAMAMOTO
M.slash(神奈川県横浜市)
旭川理容美容専門学校(美容歴20年)
お題に対し、ウエービーなスタイリングが新鮮でした。モデルにも似合っており、ブロンド部分がシャギーの軽やかな印象を引き立てていた点も魅力的。ただし、バックショットが単調に感じました。


TOMOHIRO SAKAMOTO
VISAGE(千葉県市川市)
ハリウッド美容専門学校卒(美容歴22年)
バック表面のレイヤーや、顔周り~鎖骨にかけての長短が骨格に沿う様が効いていてカットベースはすてきなのですが、アイロンで曲げた印象が強く、シャギー特有の軽やかさが感じられません。


SAYURI SUDO
SHISEIDO(東京都港区)
資生堂美容技術専門学校卒(美容歴6年)
かなり高めの位置から顔周りにシャギーを入れた点に攻めの姿勢を感じますが、角が重いボックスシルエットによって頭が大きく見えるのが気になります。ヘルメットのようで、浮き過ぎです。