
「ケミカル」が示す範囲は広く、全てを網羅し、情報をアップデートし続けていくのは難しい。だからこそ、ここではポイントを絞って学びを深めるのが吉。本記事では、「パーマの1剤と2剤」に絞って基本的な(しかし見逃しがちな)知識を紹介。複雑履歴毛の施術に役立てていこう。
監修:中谷靖章[(株)イングラボ]
「パーマの薬剤」というと、1剤ばかりにフォーカスしがちだが、実は、2剤選びも超重要。1剤によっては、2剤による酸化が不十分となり、髪に余計なダメージを与えてしまうことも。ここでは、主に1剤に合わせた2剤選びの要点を見ていこう。
| 過水 | ブロム | |
|---|---|---|
| 酸化力 | 強い・速い | 弱い・緩やか |
| 特性 | アルカリ領域で活性化 | 酸性領域で活性化 |
酸化不足は、毛髪の再結合を不完全な状態のまま放っておくこととなり、カールのダレやダメージの要因となる。毛髪のコンディションに合わせた1剤選び、そして、「使用する1剤を十分に酸化できる2剤選び」という視点も重要だ。また、使用できる2剤が限られている場合は、下欄「バッファー効果のない過水を使用するときは……」「ブロムの酸化不足を防ぐには……」を参考に、適切なプロセスを組み合わせよう。
下の図は、毛髪内の酸化具合を表したもの。バッファー効果、つまり、残留アルカリを除去・中和する作用があるかどうかで、過酸化水素の働きは変わることが分かる。2剤に過水を使う場合、1剤がアルカリ性~中性ならば、バッファー効果のあるものを選ぼう。
バッファー効果のない過水

毛髪と接触した瞬間に反応するため、毛髪の表面付近で酸化力が消費され、内部に浸透しにくくなる。十分に酸化できない。
\ Best!/
バッファー効果のある過水

毛髪のアルカリを中和しながら、内部まで浸透する。毛髪内部で反応するため、十分に酸化可能。
過酸化水素は、アルカリ領域で活発になり、酸性領域では作用が緩やかになる。そのため、1剤が酸性の場合は酸化不足となり、ダメージの原因に。ただし、バッファー効果のない過水は、濃度を上げて2剤のpHを5.5~7.0に用時調整すれば、酸化できる。
バッファー効果のない過水

酸性領域で作用しにくいため、酸化不足となる。
ただし、濃度が高ければ、酸化可能。
バッファー効果のある過水

反応が弱く、酸化不足となる。
⇓
濃度2.0%以上/pH5.5~7.0にすると……
\ Best!/

バッファー効果のない過水を使用するときは・・・・・・
★はおすすめ度
方法01(★★)
中間酸リンスで、弱アルカリ性~弱酸性にし、たっぷり塗布して10分放置する。
方法02(★★★)
塗布時に発熱した場合は、熱がなくなるまでたっぷり塗布する。
方法01(★★)
たっぷり塗布し、10~15分放置する。
方法02(★★★)
2剤を用時調整し、pHを5.5~7.0に設定。たっぷり塗布し、10~15分放置する。
1剤がアルカリ性~中性の場合、pHによってブロム酸の働きは一長一短。毛髪全体に浸透しても、反応が弱ければ酸化不足となり、逆に、反応が強く酸化力が十分でも、内部まで酸化できなければダメージの要因に。いずれのケースにおいても、使用には工夫が必要。
酸性ブロム7%
(pH6.5)

反応は強めだが、酸化力が表面付近で消費されてしまうため、毛髪内部まで浸透しにくい。放置時間を長めに取らないと、内部は酸化できない。
中性ブロム7%
(pH7.0)

毛髪のほぼ全体を酸化できるが、反応はやや弱め。中心部まで作用しないため、内部は酸化不足のリスクあり。
アルカリブロム7%
(pH8.0)

毛髪全体を酸化するが、反応が弱く、酸化不足になりやすい。
ブロム(アルカリ性~中性~酸性)は酸性域で活性化するため、1剤が酸性の場合、表面で酸化力が消費されて内部が酸化不足となる。濃度を上げることによって生まれる浸透圧効果を利用し、酸化不足を防ごう。
\ Best!/
酸性ブロム10%
(pH6.5)

濃度を10%以上にすると、浸透圧が上がって内部まで酸化作用を届けられるため、全体的に酸化可能になる。
濃度の低いブロム

濃度が低いと、表面で酸化力が消費され、内部が酸化しにくくなる。
ブロムの酸化不足を防ぐには・・・・・・
★はおすすめ度
方法01(★★)
中間酸リンスをして毛髪のpHを中性にし、2剤を2度付けして計15分放置する。
方法02(★★★)
アルカリブロムを2度付けして計15分放置した後、酸リンスを重ね付けして3分放置する。
方法01(★★)
2剤を3度付けして計15分放置する。
本企画では、薬剤の効果はパーマをかける毛髪の状態によっても変わることを学んできた。最後に、パーマをかける前に把握しておきたい、毛髪の「ダメージレベル」について、その基準を確認していこう。
| ダメージ レベル | 0 太毛のバージン毛 | 1 バージン〜ローダメージ毛 | 2 ライトダメージ毛 | 3 ミドルダメージ毛 | 4 ハイダメージ毛 | 5 スーパーダメージ毛 | 施術NG |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| パーマ カール ストレート 縮毛矯正 | しっかり健康毛のため 施術しにくい | 施術しても問題ない | 施術しても問題ない | 施術しても問題ない | 注意が必要 | 細心の注意が必要。または施術しない | |
| ▼毛髪診断の目安 | |||||||
| 水の吸い込み | はじく〜吸い込みにくい | やや吸い込みにくい | やや吸い込みやすい | 吸い込む | 吸い込む | かなり吸い込む | かなり吸い込む |
| 乾きやすさ | 普通 | 普通 | やや乾きやすい | 乾きやすい | 乾きにくい | 乾きにくい | かなり乾きにくい〜乾かない |
| 弾力 | ドライとウエットの弾力の差が少ない | ドライとウエットの弾力の差が少ない | ドライとウエットで弾力の差が少しある | ドライとウエットの弾力の差がある | ウエットでも反発する | ウエットでトロトロ。濡れた状態で引っ張ると伸びる | ウエットでトロトロ、ベタベタ。濡れた状態で引っ張ると切れる |
| キューティクル | あり | あり | 割れや、少しのめくれがある | 割れやめくれあり。少し減っている | 少ない | ほぼない | |
| ヘアカラーの明度 | 6〜8レベル | 6〜10レベル | 8〜12レベル | 10〜14レベル | |||
| グレイカラー | ファーストエイジング | ファーストエイジング〜 エイジング | ファーストエイジング〜 エイジング | エイジング | エイジング | ||
| ブリーチ | 10〜14レベル | 14〜16レベル | 16〜19レベル | 18レベル以上 |
ブリーチやヘアカラー施術を行った直後の髪は、しばらくの間薬剤の影響を受け続ける。髪の状態が安定するのは、施術後約1〜2週間程度。ヘアカラー後にパーマをかけたいならば、髪の状態を適切に見極めるためにある程度日にちを空けたい。
上の表にある項目だけでダメージレベルを判断できないならば、毛髪をウエットにした状態でコームのテール部分に巻き付けて確認するのがおすすめ。そのときに、髪がコームから勢いよく外れるようならば、健康毛とみなしてOK。コームから全く外れない場合は、スーパーダメージ毛以上。
まずブリーチ毛は、それだけで等電点が健康毛とは異なるということを認識しておくのが大切。さらに、髪の明度レベルがどのくらいかによって、細かいチェックをせずとも(パーマをかけるときの)ダメージレベルをある程度判断できる。
※本記事は、月刊『HAIR MODE』2026年3月号から転載した記事です。

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